私は10年以上水泳コーチをしていたアラフォーおじさんです。
転勤で様々な場所へ行き競泳を通じて様々なコーチとあ〜でもないこ〜でもないと愚痴や熱い話まで話して交流を深めてきました。その中で、『これ就職前に知っておけばいいんじゃないか?と感じる情報もたくさんありました。
そんな私が、今後水泳コーチを目指すあなたへ『こんなはずじゃなかった…』とならないように気をつけておきたいポイントをまとめてみました。
就職サイトでも載っていない生の声をお届けします。
個人の考え方や生活スタイルによっては合う合わないが絶対に出てくるので、この記事も参考材料のひとつとして、就職・転職活動中の方へ参考になれば幸いです。
はじめに知っておいてほしいこと
『やりがい』が根本にある仕事
まずはじめに…
稼ぐ目的で考えると水泳コーチという職業はオススメできません!
水泳コーチという仕事はやりがいで成り立っている業界です。
運動が好き、子どもが好き、今まで水泳をやってきた等々という理由がほとんどで、こういう仕事がしたいというある程度の目的があって就職活動に臨んでいます。
そして稼ぐ目的でなぜおすすめしないかというと、給料が低いけど、拘束時間も長いからです。
私が働いていた時の実体験ですが、結婚している人は99%共働きでそのうち90%以上は両親ともフルタイムで働いていました。
家族を養う、子どもを大学まで通わせる等々考えると、単純に給料だけで成り立たせることは難しいです。
一人暮らしや養う家族がいない人にとっては問題ないと思いますが、他業種と比べると低いのが現状です。
新卒での入社時の給料は他業種と大差ないので感じにくい部分ではあるのですが、キャリアを重ねても給料の上がり幅は非常に渋いという特徴があります。
私も新人時代から給料は安いと先輩社員から散々言われてきました。私はそんなこと言っても先輩くらいまでなれば、もっともらえるんだろうなと思っていて、ちょっとその先輩の発言を疑っていたのですが…しかし、現実は本当に上がらなかったです。
結婚し、家族ができ必要な費用が上がっていくペースには全くついていけない上がり幅。
この年齢でまだこの額か…となります。
もちろん会社により様々ではありますが、色々聞いていると全体的に似たような状況で経済的に苦しい状況なのがわかります。
やりがいを感じられれば天職になる
私にとってのやりがいは競泳でした。
競泳コーチは私にとって全てと言っても過言ではありません。
非常にやりがいがあり、休みが少なくなっても給料が少なくてもやりたいと思える仕事でした。
選手・保護者・コーチとの関わり、様々な地域への遠征。
普通に生活していて経験することのできない日々を送ることができました。
基本9割くらいは競泳のことを考えていて、睡眠の時間を削ってまでも色々と考えたり他のコーチと語ったりしたものです。
日本選手権のヒリヒリ感。そしてオリンピック選考会の更に気が張り裂けそうになる緊張感はここにまた来たい。もっと上を目指していきたいと思えるものでした。
このやりがいというのは人により様々で、子どもとワイワイやりながら楽しくレッスンをするのが好きなコーチ・大人と喋るのが好きなコーチ・アクアビクスに没頭するコーチ、Excelのマクロを極めて作業効率爆上げのコーチ等々…
様々なこだわりがあり個性的で非常に楽しい職場でした。変な人多いですが笑
やりがいは最初からあるわけではない
やりがいを最初から感じられる人は少ないと思います。
最初は試行錯誤をしながら色々経験していく中で、興味が湧いてくる分野が出てきます。
それは最初から楽しく感じられるわけではなく、苦しさを乗り越えて得られるものでもあります。
私も最初は競泳(むしろ水泳)に全く興味がありませんでした。半ば強制的にやらされていて『休みも減るし嫌だな〜』なんて思っていました。
そんな始めて2年が経ったある日にポンッと結果が出て、その選手きっかけに他クラブのコーチとの横のつながりが一気に増えました。
そこからはどうやったらもっと結果が出るだろう?の毎日で一気にのめり込んでいきました。
この2年を我慢できたからこそ今があるのかな?なんて思っています。
数をこなせば少しずつ余裕は出てくるし、視野が広がっていきます。楽しむ余裕が出てくるのもこの辺から。
この前に向いてないなと辞めちゃう人も多いので、慌てず頑張ることが大事ですね。
水泳コーチをしていて犠牲になったもの
ここからはちょっとネガティブな現実です。
でもこの業界で関わっていく上では必ずぶち当たるといっていいでしょう。
カレンダー通りの休み
この業界にいると、基本的にカレンダー通りの休みを確保することは難しいです。
土日祝もスクールはあります。むしろ忙しいくらいです。
土日に地元の友達と集まって…なんてことも苦労します。
私は競泳コーチをしていたので、世間のGWやお盆・年末年始などの連休期間はガッツリ練習・合宿が組まれていました。好きでやっていたので全く苦ではありませんでしたが、世間一般の休みの過ごし方はできません。
そのため基本は平日休みとなります。慣れてしまうと非常に快適で、普段なら混雑する道路・買い物やテーマパークもスイスイ行けてしまいます。この効率の良さを知ってしまうと、土日に行動するのが効率悪すぎて嫌になります。
自分の休みが祝日とかぶってしまったりすると、ちょっと損した気分になるくらいでした。
家族との時間
これも上記と似たようなものなのですが、家族の時間も確保が難しくなります。
私がいた会社は、離婚率が非常に高かったです。
冗談一切なしで全体の7割以上は離婚していました。30代後半くらいから一気に増えていました。
上層部が昔の風潮の会社なので、残業=美学みたいな古臭い考え方がありました。残業代出ないのに…その事実を知った若手社員は現実と理想の大きなギャップを知り次々と辞めていきます。
自分の出勤時間は知っていても退社時間は知らないなんて人もいます。
そうすると家族の時間なんてなかなか確保できません。子供の学校でのイベントも参加できないことが多く、家庭環境が悪くなって…といった感じでしょう。
もちろん、うまくバランスをとって円満な家庭を築いている方もいました。
でも私はそんなに器用ではなかったし自信もないので、こういう状態になる前に辞めました。
もちろんしっかりと時間管理されている会社もありますので、会社選びはとても大事です。
自分の時間
残業があり拘束時間が長かったので、自分の趣味に費やす時間も確保しずらかったです。
もちろん休みの日はしっかり確保されていたので、そこらへんは大丈夫なのですが、仕事終わりに買い物・ジムなどの自分の時間を確保することは難しかったです。
私は午後出勤の日の朝に色々やるようにしていましたが、それができるようになったのも数年経ってからでしたね…
ここは自分次第ではありますが、大半は仕事の疲労からギリギリまで寝ていたいというマインドになっていくので活動できている人は少数でした。
水泳コーチをしていてよく聞かれること
Q:夏は涼しくてサイコーじゃないですか?
A:寒いです。
これ非常に多い質問ですが、気持ちいいのは最初の10分くらいです。
もちろん仕事なので長時間水の中に入ります。ちょうどいいなんてもんじゃありません。普通に寒いです。
体調が少しでも悪いと一気にやられてしまいますので、体調管理は必須です。
いつでもシャワー浴びれるのはとてもありがたいですね。
一人暮らし時代は水道代が安くて助かりました。
Q:コーチに資格いる?やっぱり水泳経験者の方がいい?
A:資格は必要ありません。水泳経験者でなくとも全然OK
コーチをする上で資格は特に必要ありません。
もちろん資格はあります、競泳でいうと公認水泳コーチ4(昔の上級コーチ)というものを持っていないと、代表クラスの遠征に帯同できないというものがあります。
この資格は試験というものもあるのですが、担当していた選手の実績も必要でもありますので、全員が受けられるというものではありませんでした。
他の一般的な資格も管理職の人は必ず取らなければならないという会社もありましたが、就職活動において持ってなければならないということはありません。
水泳コーチの中では水泳経験がない人は意外と多いです。私がいた会社は半々くらいでした。中には代表レベルの選手を育てていたコーチもいたので、その辺は全く気にしなくていいでしょう。
水泳経験においては経験が少ない人もそれはそれで武器になります。
なぜなら泳げない人の気持ちが分かりやすいからです。レッスンを受けている人と近い感覚なので、ポイントを伝えやすくなります。
私も学校(授業)水泳レベルからのスタート(入社時バタフライ泳げませんでした…)でしたが、やりづらさは特に感じませんでした。
もちろん水泳の勉強は必要です。自分で泳いだり知識を吸収していかないと根本的には教えることができませんから当然です。
私は知識ゼロの分、勉強して知っていくのが楽しく感じられてよかったなと思っています。
Q:痩せる?太る?
A:運動量は多い。でも太りやすいかも…
水泳コーチで現状維持できる人はなかなかいません。
よっぽど自己管理がしっかりできている人くらいでしょう。
水泳コーチの1日はイレギュラーなことが多く、決まった時間にご飯が食べれるなんてなかなかありませんでした(これに関しては働く場所による)
多くはこの4パターンです。(私は全て体験済みです)
ちなみに①➡︎②➡︎③・④と進行していく人が多い
①忙しくて食欲も湧かず痩せていく
あなたもイメージしてみてください。
学校で水泳した後の授業ってどうでしたか?眠くなる人が多いのではないでしょうか?
水泳は全身運動です。そしてプールに入っているだけでも水圧がかかり負荷がかかります。
最初の方は疲れてぐったりです。
私も新人時代は家帰ってそのまま何もせずベットでバタンキューなんて毎日を過ごしていました。
そんな生活をしていれば痩せますよね
②忙しくて太る
1度プールに入ってしまえば、レッスンは連続で続くのでなかなか上がることができません。
そしてその途中でやってくる空腹はなかなか辛いものがあります。
空腹だけなら全然良いのですが、エネルギー不足で体調不良を感じることも結構あるのです。そういう経験を一度してしまうと、ヤバい状態にならないように、入水前に何か食べるようになります。
その為、【食べれる時に食べる】という癖がつきます。
自分を精神的に安心させるということでもあるのでしょうが、大体こういう行為を繰り返していると、消費カロリーが多めだとはいえ、それよりも摂取カロリーは大幅にオーバーしています。
③お腹が減る要素が多く太る
これは、仕事に少し余裕が出てきた人に多いですね。
プールでエネルギーを消費することで、よりお腹が空きます。そしてたくさん食べるようになります。お弁当2個も3個も食べている人も珍しくありません。
そして指導後はお腹が空いています。食事のタイミングでもないのに、菓子パンやおにぎり・お菓子など口に入れるようになっていきます。
そうするとどうなっていくか…みなさんお分かりですよね?
④忙しすぎて1日の楽しみが『食』になってしまう。
4つのパターンを紹介しましたが、経験を経て余裕が出てくるごとに太りやすくなります。
そして更に余裕が出た人はダイエットに挑戦するのです…
いい職場を見分けるポイント
さあ本題といったところでしょうか
ここでのいい職場とはワークライフバランスが良い会社を指します。
仕事もプライベートも充実させるのが理想だと思いますのでそこを重視していきます。
これは個人的に結構自信がありますし、業界にいないとわからない情報でもあります。
私個人の見解なので、あくまで参考材料としてヒントになれば…と思います。
大企業(水泳以外の事業)がバックにある
しかも、水泳やスポーツをメインとしている大手ではなく、スイミングではない別の分野で活動している企業とかのクラブは、ワークライフバランスが安定しています。
とあるクラブのコーチは、時間管理が徹底されすぎていて逆に大変とおっしゃっていたことがありました。試合の引率で出勤時間がはみ出てしまうと、月曜で○時間、火曜は午後出勤とか調整するそうです。試合なんてシーズンは毎週のようにありますから、その度に調整。
調整の方が面倒臭いから、無しでもいいのに…と言う悩みで、私は非常にうらやましいと感じた覚えがあります。大変ですけどね
あとは学校系にくっついているスイミングも安定してる印象。聞いてみるとボーナスがすごい良くて悲しくなった記憶があります笑
水泳業界は割と世間一般の企業とは感覚が違うところがあるので、そういう面で大本が違う事業を行なっている企業はその辺しっかりしています。
直営店は注意!公共の施設は残業が少なめ
直営店は注意です。
出勤も退社も融通が効くので、残業で夜遅くまでいることが多いです。
退社時間とっくに過ぎているのに時間があると勘違いしてダラダラと仕事をしてしまい、非常に効率が悪いです。
私がいた会社は朝まで会社なんてことしょっちゅうでした。
逆に居心地良く過ごすために、寝具やグッズを持ち込んだりして…何してんだか
その点公共の施設は閉館時間があり、施錠されてしまうのでタイムリミットがあります。
なのである程度の時間が来ると強制的に出なければなりません。
残業があったとしても、タイムリミットがあるので自然と逆算して作業できていました。
スイミングクラブは直営店(自社プール)を持っていたり委託で公共の施設の中でスクールを開いていたりと様々な形がありますが、こういった特徴があります。
まあ直営店は間違いなく残業時間が増えると思っておいた方がいいですね。
コーチの入れ替わりが激しいクラブは注意
コーチが入れ替わる=辞めるor転勤が基本となります。
転勤はある程度時期が決まっていますよね。やたら短期間でコーチがいなくなっていたりするところは、何かしらの問題があるかも…
私もよく会員さんに「よくコーチ変わるわねぇ…」と言われました。
消えました。とは言えず、いつもはぐらかしていました…笑
気になるならバイトをしてみよう
バイトをすればどんな会社なのか一発で分かります。
どう言う人がいるのか?社員の疲労度、スクールの感じ・雰囲気
給料はどうか?休みはちゃんと取れているのか?残業はどうか?
少し期間を積めばその辺の話はたくさん聞けるし体感的にわかってきます。
学生の方で少しでも水泳業界に興味がある方はアルバイトオススメです。
結構なブラック企業でも残業も面倒臭い注文もないので、バイトなら楽しくできてしまう不思議
仕事自体はとても楽しいですよ。監視員とかもありますけど、楽しいのは指導員ですね。
合わない人はどこにでもいる
私はありがたいこに人間関係ではあまり苦労しませんでした。
でも会社というのは様々な人がいて、自分と合わない人がいるのが当たり前です。
その中で意識していたことは以下の2つです。
①他人に期待しない
②自分から歩み寄る
まず、相手に期待するのは無駄です。この辺は自分が大人になって『この人はこういう人なんだ』と思うしかありません。
そしてそういう人は仲良くなってしまえば大きな味方になることが多いです。
最初はちょっと大変ですが、相手を否定せずに自分から歩み寄ることで関係性は意外と変わってきたりします。
働いていた時にこういう場面に山ほど遭遇しました。
仕事で同じミスをAさんとBさんがしてしまった時の上司の反応
Aさん:普通に怒られる
Bさん:何もなし
こういう場面本当によくありました。
結論はこの上司との信頼関係のみです。
Aさんは関係が足りなくてBさんはしっかり信頼関係があっただけです。
信頼関係というよりも仲良し度といったところでしょうか?
普段のコミュニケーションをしっかり取れているかが大事です。
いやだからといって距離をとって業務上必要な時だけ話すなんてしていると、どんどん距離ができてしまい、あまりいいことはありません。
内心大っ嫌いでも仕事上スムーズにやっていくためには必要な要素なのです。仕事なので…
この辺はこの業界に入って培ったスキルなんだと、新たな職場でひしひしと感じました。
個人的によく笑う人は相手の懐に入るのが上手だな〜という印象を受けます。
この辺は自分次第なのかな?と感じるところです。
もちろんそんな簡単じゃない!という場面もあると思います。その時は無理せず、仲のいい先輩に相談してみましょう。大体同じことを思っていて、話が盛り上がったりして…
まとめ
水泳コーチとは?
・給料は期待できないがとてもやりがいがある
・土日休みはほぼ無理。でも平日休みは素晴らしい
・やりがいはじめてみて生まれてくる
・プールは寒さとの戦い
・気を抜くとすぐ太る
・資格は必要ない。水泳経験なくてもなんとかなる
いい職場を見つけるためのチェックポイント
・別事業をメインとする大企業、学校系
・残業したくないなら公共の施設を狙う
・コーチの入れ替わりが少ない
・バイトをすると内情は大体わかる
個人的に辞めて気付いた事
・資格はないがPCスキルが身についた
・コミュニケーション力は他の会社に入れば武器になる
・人付き合いが上手になった(同僚・会員・保護者等)
・中、高、大学生と喋ることは全くなくなって寂しい
・全体的に若い人が多くキラキラした業界であった
・振り返るといい思い出、たまに教え子から連絡くると嬉しい
・大声を出すことがなくなった
・規則正しい生活になり、自分の時間が増えた
・話のネタになる
どうでしょうか。
やってみたくなりましたか?それとも嫌になりましたか?
間違いなく、今後の人生において価値のある経験ができると思います。
良い点も悪い点もこの記事で少しでも参考になれば幸いです。
就職や転職は人生の大きな転機でもあるので慎重になるかとは思いますが、就職・転職の先輩としては、飛び込んでみれば意外と楽しめるので自分の直感を信じて悔いのないように頑張ってください。応援しています!